大逆事件の犠牲 忘れない
明治天皇暗殺計画を理由に社会主義者らが弾圧された大逆事件(1910年)の99周年の追悼集会が31日、東京都渋谷区の正春寺で開かれた。「大逆事件の真実をあきらかにする会」(東京)の主催。東京のほか、青森、福岡など各地から一般市民、研究者、大学教授ら約80人が集まった。新宮市からは「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」のメンバー約20人が参加し、犠牲者の慰霊などをした。
参加者はまず、事件で処刑された唯一の女性・管野スガ(1881~1911)の同寺にある慰霊碑を参拝。線香や花束をそえて冥福を祈った。管野は大阪生まれ。現在の田辺市で新聞記者をした後、無政府主義者・幸徳秋水の内縁の妻となった。その後大逆罪に問われ、幸徳らとともに処刑されている。
参拝の後は、参加者から各地での研究成果や活動報告があり、新宮市の同会・二河通夫会長(78)も現状を報告した。新宮では熊野地方出身者ら6人が検挙され、2人が死刑、4人が無期懲役となった。二河会長は6人のうち、非戦を唱え、貧しい人に無料で医療を施した医師・大石誠之助(1867~1911)について、「偉大な功績と人間性から名誉市民にすることをめざしている。来年は各地と協力して100周年の催しもしたい」と話した。
「大逆事件の犠牲者を顕彰する会」は2月1日、神奈川県箱根町の林泉寺を訪問し、事件で処刑された曹洞宗僧侶・内山愚童の墓を参る予定
asahi.com> マイタウン> 和歌山> 記事 2009年02月01日