新憲法制定議員同盟、役員に民主党幹部を加える
憲法審査会始動をねらう
読売新聞、毎日新聞などによると、「新憲法制定議員同盟」(会長・中曽根元首相)は3月4日に総会を開き、新役員体制を決定しました。今まで参加がなかった民主党幹部から新たに鳩山幹事長が顧問に、前原副代表、田名部元農水相、渡辺元郵政相が副会長に就任し、自民党からは安倍前首相、伊吹幹事長、谷垣政調会長が顧問に加わりました。自民党・民主党の両幹事長が顧問に就任することになり、自民党では現副会長である二階総務会長、古賀選対委員長に加え、伊吹幹事長、谷垣政調会長も加わり、党四役が全員、「議員同盟」の役員となりました。「議員同盟」には議員191人が参加しています。また、町村官房長官、高村外相、額賀財務相、鳩山法相が副会長に名を連ねていることは、憲法尊重擁護義務(憲法99条)に公然と違反する重大な問題です。
役員会では憲法審査会の早期始動を求める国会議員の署名が、自民党282人、公明党35人、民主党26人、無所属など10人、合計353人に達したと報告されたとのことです。昨年5月に与党の強行採決で「国民投票法」が成立し、8月に衆参両院に憲法審査会が設置されましたが、参院選での与野党逆転の中で、審査会の組織と運営ルールを定める審査会規程の議決に至らず、まだ始動していません。こうした中で「議員同盟」に民主党幹部が参加するということは、自民・民主の共同で憲法審査会を早期始動させたいという狙いが明白です。現に鳩山幹事長は「民主党として、憲法審査会の始動に向け前向きな方向が出ることを、個人的には望んでいる」(読売2・28)と語り、伊吹幹事長は「憲法審査会が動く状況を作りたい」(読売3・4)と語ったといいます。
「九条の会」に対抗する
「新憲法制定議員同盟」は07年4月「自主憲法期成議員同盟」を改称し、改憲派を集めて結成されました。「護憲運動が盛んになっているので、これに対抗する運動を強力に展開する」としています。今回の総会でも「九条の会」を名指しして、「『九条の会』が全国に細かく組織作りをしており、それに対抗していくには、地方にも拠点を作っていかねばならない」と強調し、「各党支部や青年会議所に頼んで拠点になってもらう」と提起しました。
当面の活動方針としては、①衆参両院の憲法審査会始動への働きかけをさらに強める②民主、公明両党の議員を中心に会員の増強を進める③「九条の会」に対抗していくため地方の拠点づくりを進める、ことを確認しています。
安倍前首相の突然の退陣によって影を潜めていた明文改憲の動きが、ここに至って再び大きく動き出したということであり、一層、警戒を強めなければなりません。
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「憲法審査会」とは
国民投票法に基づき衆参両院に設置された憲法審査会は、日本国憲法およびそれに密接に関連する基本法制の広範かつ総合的な調査をする権限、憲法改正原案を審査し提出する権限、日本国憲法の改正手続に係る法律案等を審査し提出する権限を持つ常設の機関です。
九条の会わかやま 62号 2008年3月10日
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