ベトナム立ち寄り
旧ソ連三ヶ国の旅
和歌山西支部 S・Y
六月四日、関西空港を一一時出発のベトナム航空(JALと提携)で、先ずベトナムのホーチミン空港へ着いた。何しろ九時間の立ち寄りで、ベトナムの事情がわかるわけでないが、感じたことだけ二~三書いてみよう。
ものすごいバイクの流れ、渦、ヘルメットをかぶらず、一台に三人乗りが当たり前(バイクは日本語のホンダで通用)。女性がおしゃれでよく働いている。何でも商売。子どもの宝くじ売り、活気があるが、戦後の日本の闇市と似ている。日本語が少しわかる旅行案内人の中国系ベトナム人と話をした。「治安はよくないよ.泥棒が多いよ。日本人が好きで日本の観光客の案内をしているが今日は休みだ」と語った。
ベトナム戦争で世界一の軍事大国アメリカに勝ったベトナムの国づくりはもっと奥深いものがあるなと感じたが、九時間の立ち寄りだけで、ロシアに出発することになり残念だ。
ロシアはモスクワ、サンクトペテルブルグ、ベラルーシのミンスク、ウクライナのキエフをすべて列車で一九日間の旅になった。旧ソ連には今回で七回目、ソ連崩壊後は三回目である
九年ぶりのモスクワは、自動車が数倍から十倍ぐらい増えている、産油国の有利さか。急激な資本主義化でいびつな経済発展をしている。安くてまあまあの性能の韓国車が多く、日本各社の車も走っている。金持ちのまわりに、車を買うことが出来る小金持ちが増えている。ベトナムと同じく何でも商売で、地下鉄駅のまわりとか、鉄道駅のまわりとかに自由市場が盛んである。
ベラルーシは実に美しい国であるが、ベラルーシ・ルーブルの価値が低くインフレである。三国とも女性がおしゃれで、日本の女性よりも輝いて見える。子どもと若い親たちの笑いは光の部分で、テレビでは犯罪のニュースが多く、警官の数が実に多くなった。私自身、満員の地下鉄でスリに財布をすられた。
モスクワから半日コースで、ローカル線に乗ったが、車内で届けさえあれば商売は自由で、アイスクリーム売り、スチール・ウールをロシア語で口上を述べながら車内販売、年金暮しらしい老夫婦のギター・アコ―ディオンの演奏、聖像画をかかえた神父さんの托鉢など、漫画を見ているようであった。
ベラルーシのミンスクで大祖国戦争史国立博物館で第二次大戦でナチス・ドイツ軍にどれだけ祖国が踏み荒らされたか、サンクトペテルブルグではドイツ軍の九〇〇日間の包囲で六〇万の市民が犠牲になった戦争の事実をきちんと伝えていることに感心した。
キエフでチェルノブイリ博物館に入館し、日本人が訪問したことが珍しいと歓迎された。観光コースから外れているため、ヒロシマ・ナガサキからの展示もあり、日本人は是非訪れるべきだと思った。