「2・11」で集会
考えた侵略・平和・民主主義
大阪/京都/滋賀/和歌山/兵庫
11日の「建国記念の日」に反対してこの日、侵略戦争や平和、民主主義について考えるさまざまな集会が近畿各地でも行われました。
起源を探る/大阪
大阪府では、「建国記念の日」不承認2・11大阪府民のつどいが大阪市内で開かれ、歴史学関係団体や労働組合、民主団体などから220人が参加しました。主催は、大阪教職員組合などでつくる「建国記念の日」反対大阪連絡会議です。
高木博志京都大学准教授が「天皇陵・世界遺産・紀元節―近現代史から考える」と題して講演しました。
高木氏は、「建国記念の日」の起源となった「紀元節」の成立について、明治維新の変革によって、天皇家の始祖を神武天皇(記紀の世界)とし、「万世一系」や「神武創業」の物語の理念、120代の天皇陵がつくられたことと連動していると指摘。この天皇陵の決め方が古事記や日本書紀などの記述をそのまま信じる方法や、現地の伝説などを採取する方法にもとづいていることを明らかにし、「『建国記念の日』は『伝説』を疑わない歴史意識と連動している」と結びました。
大阪府職員労働組合の平井賢治氏が意見発表しました。
9条多面に/京都
京都では、第45回「建国記念の日」不承認・京都府民のつどいが京都市下京区で開かれ、100人を超す市民が参加しました。
立命館大学の君島東彦教授が「多面体として憲法9条を見る」と題して講演。①米・ワシントン②大日本帝国③日本国民④沖縄⑤東アジア⑥地球市民社会―の六つの視点から憲法9条をとらえ、意義と可能性について解説しました。
それぞれの角度から見れば、日本の武装解除、天皇制護持の「避雷針」などさまざまな側面を持つ9条を、日本国民が実践を通じて、判例、制度、意識など条文だけにとどまらない「人権としての平和」に発展させてきた世界的意義を強調しました。
そして日本国憲法が世界の平和活動家から注目を集め、「NGO活動など、紛争や人道的危機にたいする非軍事的対応を広げる基盤となり始めており、大きな力を発揮できる」と憲法が持つ今後の可能性について語りました。
「慰安婦」語る/滋賀で吉川氏
滋賀県では、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟滋賀県本部と同女性部が大津市内で「日本軍『慰安婦』問題を考えるつどい」を開きました。日本共産党の吉川春子元参院議員が講演し、80人を超す参加者は「問題に真正面に向かい合っていきたい」「60年以上も問題を引きずるような戦争は許せない」などの感想も出されました。
吉川氏は、日本が植民地とした朝鮮などで日本軍の性どれいとされた女性たちや、日本の女性たちに日本政府は謝罪も補償もしていないと指摘。戦後も政府は米軍に「慰安所」設置を布令したこと、沖縄米軍基地などの性犯罪、女性差別、家庭内性暴力など現代的課題だと指摘。民主党政権で解決のとりくみは放置されているのが実態だとして、地方議会から「慰安婦」問題解決の決議・意見書の採択をと呼びかけ、「問題意識を持った人を送り出すのもいっせい地方選のテーマ」と指摘しました。
「坂の上」で/和歌山
和歌山県では「平和・人権・民主主義2・11和歌山市集会」が和歌山市中央コミュニティセンターで開かれました。
奈良女子大学の中塚明名誉教授は「NHKドラマ『坂の上の雲』の歴史認識を問う」で講演し、日清開戦2日前に日本軍が朝鮮王宮を占領したことや、抗日闘争のせん滅を命じる「大本営命令」、朝鮮王后殺害事件など日本が朝鮮に対し蛮行を繰り返し、日露戦争では、ついに日本軍が事実上、韓国を占領するにいたった歴史を紹介。「坂の上の雲」には、朝鮮人民への支配と抑圧の実態が書かれていないと批判しました。
また著者の司馬遼太郎氏が映像化を拒否していたのに、NHKが「韓国併合」100年に重ねて放映した日本の状況に警鐘を鳴らしました。
集会は「今、問われているのは私たちの歴史認識ではないか。今日学んだ歴史認識を広めていきましょう」とよびかけるアピールを採択しました。
沖縄戦とは/兵庫
兵庫県では、2・11「建国記念の日」不承認兵庫県民集会が神戸市中央区内で開かれ65人が参加しました。
中学校教師の平井美津子・子どもと教科書大阪ネット21事務局長が「沖縄と天皇―子どもたちは考える」と題し講演しました。
平井氏は、大江健三郎氏が被告とされた沖縄戦強制集団死(「集団自決」)をめぐる裁判を紹介し、裁判のねらいが、教科書から沖縄戦の真実を消し去り、歴史を改ざんするためのものだと指摘。授業や修学旅行、文化祭などのなかで中学生が沖縄戦をどう学び、どう受け止めたのかを報告しました。平井氏は、戦争を美化せず真実を教える大切さを強調し、「教科書に書いてないことを教えられなくなる恐れがあります。だからこそ、しっかり書いてほしい」とのべました。
実行委員会の基調提案や「どうする安保―日米同盟と私たちの未来」(平和委員会作成)の上映、意見交流がおこなわれました。
(2011年02月12日 しんぶん「赤旗」)