同盟歌壇 碓田のぼる選
千葉県高沢義人
「弾圧と戦争」体験一時間、声涸れ怒り炎える卒寿の青春
〈評〉「松戸同盟発会に招かれて」と付記に。思い溢れる。
福井県元山章一郎
「日米合意」押しつけ鳩山は去りていく怒りわきたつ沖縄の民
〈評〉県民・国民無視のこの無責任さにただただ怒りあり。
大分県渡辺幹生
育て来し牛殺さねばならないと宮崎の農民涙声なり
〈評〉口蹄疫で殺される牛によせる思いはわが子のように。
新潟県柳川月
胸つまり涙し聴けり佐藤真子切々と歌う「一本の鉛筆」
〈評〉「上越九条の会発足五周年記念のつどいより」と。
新潟県加茂川ハル子
作業所に通う青年笑顔なり「愛」の字のTシャツ汗にじませて
〈評〉ハンディを負いながら明るく働く青年の姿である。
兵庫県岸本守
兄の戦死偲びつつ雨の過疎の里に平和行進ヒロシマ目指す
〈評〉反戦平和の思いをあらたにしての平和行進である。
東京都若林義人
イラク攻撃を称えし頃の政権に諾うものらに一線を画し
〈評〉イラク攻撃を正当化した勢力の誤まり、今は明白。
静岡県江川佐一
集会の講師とは知らず同盟の署名頼めばカンパいただく
〈評〉隣席に坐っていた人に声をかけたのであろう。
岐阜県和田昌三
県外の車ずらりと並び居て鮎解禁の朝の賑わい
〈評〉待ちに待った釣人たち。これは有名な長良川か。
和歌山県中平喜祥
「か」で始まる言葉は何かと尋ねられ「蚊」と答える記憶力テスト
〈評〉テキストを少し笑っている気配で、ユーモアがにじむ。
2010年7月15日不屈(毎月15日発行)№433