ドキュメンタリードラマ映画
「鶴彬こころの軌跡」
この映画は、石川県旧高松村(現かほく市)出身の反戦川柳作家鶴彬(つるあきら・本名喜多一二)の二〇〇八年没後七〇年、翌二〇〇九年生誕百年を記念して製作された映画である。
地元の鶴彬顕彰会が記念事業として製作・普及の呼びかけを全国に発信し、石川県内を含め全国三〇都道府県、一五〇〇人を超える個人と一三五団体からの浄財(協力・協賛募金)二〇〇〇万で製作された作品です。
監督は新藤兼人監督を師とし、江戸の三大農民一揆の一である岐阜(郡上)の「郡上一揆」を映画
化(題名「郡上一揆」)、明治政府に埼玉(秩父)の農民が抵抗し立ち上がった「秩父事件」を映画
化(題名「草の乱」)した社会派の監督神山征二郎さんです。
憲法を変えようとする時代、閉塞の時代、貧困と格差の時代の今だからこそ、あの天皇絶対主義の治安維持法下の暗黒の時代に、命を賭けて突き進んだ若き鶴彬の生きざまを全国に発信しようとした私たちの思いが神山監督を突き動かし、監督曰く、この映画は「究極の手作り手弁当」だったと評し、これまでの二六作品中でも最も心に残る作品と振り返っています。
雪崩うつ戦争への時代、命がけで反戦を貫いた川柳人の姿を今に問う。
小林多喜二は小説家として、石川啄木は詩人として、鶴彬は川柳人として同時代に表現の形式こそ違うが、同じ道を歩んだと考える。戦前を生き抜いた方々とともに、若き未来ある青年たちにも、今の時代をどう生きるかをあらためて考える機会として、この映画上映の機会を是非つくり広げてもらいたいものである。(映画「鶴彬」上映普及を成功させる会事務局長・板坂洋介)