第34回全国大会活動報告と運動方針(案)
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟中央本部
二〇〇九年十月二十一日〜二十二日東京・全労連会館
はじめに
治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟第33回全国大会から二年一ヵ月が経過しました。
この間、〇八年三月、治安維持法国賠同盟創立四〇周年を迎え、わが同盟にとって大きな意義をもつ節目の時期でありました。
同盟第34回全国大会は次の任務を持って開かれます。
①「ふたたび戦争と暗黒政治をゆるさない」ため、同盟の運動が果たすべき役割を明確にすること。
②前大会からの活動の教訓をくみだし、運動と組織の新たな前進をめざす方針を打ち出すこと。
③次期大会までの活動方針を具体化し、それを推進する中央本部役員を選出することです。
一、情勢の特徴とたたかう課題戦前、暗黒の時代に平和と民主主義のために命がけでたたかった治安維持法犠牲者たちの志は、日本国憲法に結実されています。志を受け継ぎ発展させるために、日本を「戦争しない国」のまま次世代に受け渡していくことは、今日における最も中心的な課題です。
世界の変化が実感でき、日本の変化も予感され、まさに歴史の転換点に立っています。情勢をしっかり見据えて、たたかう課題を追求しましょう。
(1)総選挙戦をたたかって
八月、総選挙がたたかわれました。同盟は、自公政治に終止符を打ち、同盟が掲げる目標実現の勢力拡大のために奮闘しました。自公政権の歴史的敗退となった第45回総選挙は民主党三〇八議席と過半数を占め、自民党は一一九議席で三分の一に減、公明党も太田代表はじめ主要幹部が落選、ともに大きく後退しました。自民党の第一党からの転落は、一九五五年結党以来初めてです。その背景には、この一〇年の自公政権、とくに小泉「構造改革」がもたらした医療、年金、雇用の破壊など、国民の暮らしを極度に悪化させてきたことに対する国民の怒りが、頂点に達していたことをしめすものです。民主党は議席を激増、大勝しましたが、それは自公政権に国民が「ノー」の審判を下した結果であり、日本の政治にとって大きな前向きの一歩となりました。民主党の議席増は、国会請願紹介議員の多数獲得に大きな可能性を示しています。
(2)世界にわきおこる変化平和を求める共同体の胎動が広がっています。平和共同体をめざすASEAN(南アジア諸国連合)を中心とする東南アジア友好協力条約(TAC)は、アメリカの加入を承認、EU(ヨーロッパ連合)も加盟を決めています。これによりTAC加入国は二五カ国から五三カ国となり、世界人口の約七〇%となります。南米共同体を軸に急速に変化している南北アメリカ大陸では、米州機構会議でアメリカは「対等なパートナーシップ」を認め、中南米は「米国の裏庭」ではないことが確認され、キューバ排除も撤回されました。アメリカ一国覇権主義の時代は終ろうとしています。
オバマ米大統領のプラハ演説は、核兵器廃絶を切望する国際世論を大きく盛り上げ、新たな運動の機運を高めています。自公政権は核抑止力の継続を求めるなど、被爆国日本の立場で国際世論の先頭に立とうとせず、むしろ国際世論には背を向けています。
人道に反する罪に対して謝罪する動向も急速な広がりを見せています。オーストラリア、カナダの先住民への謝罪、アメリカ下院の黒人差別虐待謝罪決議、イタリアのリビア植民地化への謝罪、とりわけわたしたち同盟の運動に勇気を与えるのは、スペインで遺族たちの運動が実って、内戦とフランコ独裁時代の犠牲者を名誉回復させる「歴史の記憶法」が施行され、ドイツでは左翼党の数年間の努力が実って、ナチス政権下に国家反逆罪に問われた人々への名誉回復を行う立法化が行われようとしていることです。
日本は「従軍慰安婦」問題で国際社会からの厳しい謝罪要求にだんまりをきめこみ、歴史に向き合おうとしていないままです。しかし、〇九年五月三〇日「パターン・コレヒドール生存兵士の会」総会へ駐米日本大使が出席、日本政府の謝罪を表明しました。ほころびが生まれたのです。
(3)憲法を守り、「戦争する国」をストップさせよう
これまで自公政権は、防衛省へ昇格させ武官の権限強化がはかられ、世界の変化に背をむけて、ソマリア沖へ「海賊対策」を口実に自衛隊派兵を強行し、海外派兵恒久化を目指し、現行憲法のもとでの集団的自衛権の行使についても、これまでの解釈を変更しようとしていました。今年末に予定されている防衛計画大綱改定に対し、自民党国防部会は北朝鮮ミサイル発射を口実に、海上発射型の巡航ミサイル導入など敵基地攻撃能力の保有を提言しているなど、他国攻撃をも可能にする道を開こうとしています。敵基地攻撃論、日本核武装論などの軍事対応論は、日本国民をふたたび戦争へ駆り立てようとする危険極まりないものです。
また、改憲派は憲法審査会の早期開催をはかり、改憲を加速させて、日本を「戦争する国」への道をいっそう進めようとしています。
文部省は、侵略戦争美化の歴史教科書を引き続き検定合格させました。同盟秋田県本部は県下の全教育委員会に対し採用しないよう申し入れを行いました。
田母神俊雄前空幕長がもてはやされるもとで、「靖国」派がいきおいづき、イラク派兵違憲判決一周年の機会の名古屋で、八月六日原爆忌に広島で講演会をおこなうなどきわめて挑発的です。
一方、日本国憲法九条は世界に共感の輪を広げ、9条世界会議は大きな成功をおさめました。「九条の会」が作り出した動きは大きなうねりを作り出しています。
全同盟員が治安維持法下でたたかった先人たちの志を受け継ぎ、憲法を守り、「戦争する国」ストップの歴史的たたかいの先頭に立ち、共同の輪を広げるために奮闘しましょう。
(4)戦争と国民弾圧は腕を組んでやってくる
執拗に繰り返されるビラ撒き弾圧など決して軽視することはできません。内容の是非を棚上げしているように見せかけて、形式犯で取り締まりを積み重ねる手口をしっかり見据える必要があります。
盗聴法、共謀罪など、機会あれば使おうとしている悪法が目白押しです。自衛隊の情報保全隊が国民監視活動をおこなっていたことも明るみに出てきました。国民弾圧強化に対し、どんな些細なことでも見逃さず、機敏に対応することが必要です。暗黒政治復活への足がかりになることは絶対に許すことはできません。細心の注意が必要です。
弾圧には戦前でも、今日でも人権無視がつきまといます。
「市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)」締結国に義務付けられている日本政府報告書に対する国連自由権規約委員会の審査が〇八年一〇月行われ、「最終見解・勧告」が発表されました。政府報告書は日本政府の人権問題への取り組みのお粗末さを露呈し、国連委員会は代用監獄廃止や従軍慰安婦への謝罪を求めるなど手厳しい勧告をしています。人権の国際的水準を身につけてたたかうことの大切さを学ぶ必要があります。
(5)ふくれあがる軍事予算、格差と貧困の押し付けが国民生活押しつぶすグアムや岩国の米軍住宅の建設、伊江島の農林予算による海兵隊兵舎建設などのアメリカへの「思いやり」予算が異常に膨れ上がっています。小泉内閣の下で始まった大銀行・大企業を擁護する「構造改革」路線により、国民のいのちとくらしは定率減税廃止、年金課税の強化、介護保険の対象者切り捨てや後期高齢者医療制度などの年寄りいじめ、障害者対策、保育行政の縮小、学費の高騰など、全般にわたって国民の暮らしへの圧迫が強まっています。さらに、消費税率引き上げもたくらまれています。
これまで自公政治は、国民生活にいっそう格差と貧困を押しつけ海外で「戦争する国」への路線を進めてきました。この路線を一掃するために奮闘しなければなりません。
わたしたちは戦争する国づくりをおしすすめ、国民生活を破壊する路線と対決してたたかいます。
(6)横浜事件
「無罪」を求めている「横浜事件」は、〇七年一月第三次再審裁判で東京高裁は不当にも「免訴」としました。〇九年三月第四次再審請求に対しても横浜地裁は「免訴」としました。同盟は犠牲者遺族の「無罪」の要求を支持し、引き続き連帯を強めていきます。
(7)レッド・パージ
戦後最大の思想弾圧であるレッド・パージに反対する運動は、こんにち全国連絡センターが発足し、国会請願署名運動も急速にひろがりつつあります。レッド・パージは戦前の治安維持法を引き継ぐ弾圧であり、職場の思想差別とのたたかいとともに、今後ともいっそう協力共同を強めていきます。
(8)戦後補償問題
戦後六四年、侵略戦争と暗黒政治下の戦争犯罪と人道に反する行為は、国の内外からきびしく追及されてきました。
中国人、朝鮮人などの強制連行・強制労働問題、従軍慰安婦問題、七三一部隊による生体実験、毒ガス遺棄被害事件、南京大虐殺、平頂山虐殺、ソ連抑留者問題、中国残留孤児問題、空襲被害など、六〇件におよぶ訴訟や国家賠償要求運動が発展しています。
同盟は、これらの戦後補償要求を共に連帯してたたかい、戦後生まれの世代が圧倒的多数となっている状況のなかで、正しい歴史認識を若い人々に普及、定着させる活動に力を入れます。
国会では、「従軍慰安婦」問題、ソ連抑留者問題を民主・共産・社民三党共同提案の決議が行われています。この決議が戦後補償問題解決の糸口になるよう求めていきます。
(9)治安維持法国賠同盟は反動派(「靖国」派)と真っ向から対決してたたかう大衆団体です
国連総会は二〇〇四年に二〇〇五年五月八〜九日を第二次大戦終結「記憶と和解の日」とし、毎年この日を記念しようと満場一致で宣言しています。これに比べて日本では、侵略戦争に反対し、主権
在民をかかげ生命をかけてたたかった治安維持法犠牲者の業績は、未だ一部の国民の中の記憶と認識にとどまっています。世界に名だたる悪法といわれた治安維持法と特高警察の弾圧下で、逮捕された人は数十万人、小林多喜二のように虐殺された人は八〇人、拷問・虐待・病気などによる獄死者一六一七人、逮捕後送検された人七万五六八一人、投獄など実刑を受けた人五一六二人にものぼっています。この歴史的事実と犠牲者、先覚者たちの不屈のたたかいを広く国民の中に語りつぐことが改めて重要になっています。
日本歴代政府は、植民地支配・侵略戦争について謝罪せず、頬かむりしたままで押し通そうとするばかりか、治安維持法で国民を戦争に駆り立てた戦前政治を肯定しています。これを推進する勢力と
して「靖国」派が形成され、日本会議、日本会議国会議連やその周辺団体は歴史的事実をねじ曲げる歴史認識を振りまいています。NHKの司馬遼太郎「坂の上の雲」放映計画は、誤った歴史認識を助
長するものとして注目する必要があります。
「蟹工船」がブームとなり、映画「母べえ」や「日本の青空」、NHK「小林多喜二・二九年の人生」放映などで、治安維持法の時代を初めて知ったと語る人が少なくありません。
二〇〇九年三月三〇日、日本弁護士連合会は「横浜事件再審判決に関する会長談話」のなかで国に対し「治安維持法下の被害者を救済する措置を早急に行うよう」あらためて求めています。
治安維持法国賠同盟は、「靖国」派と真っ向から対決し、歴史認識をただすために大衆団体の一員としての自覚を強め、同盟活動をいっそう発展させるために奮闘します。
世界は今日、戦争や軍事同盟でなく平和共存による国際秩序が発展しています。「人道に反する罪」の告発、犠牲者への補償もかつてなく広がっています。しかし日本では大きく立ち遅れています。
同盟四〇年の活動を、さらに国民的運動に発展させていきましょう。
二、前大会以後の同盟活動と第34回全国大会の運動方針
1 、治安維持法犠牲者に謝罪と賠償を要求する活動
(1)国会請願五〇万署名の達成へ
「治安維持法犠牲者国家賠償法」の立法化は、国会請願署名、地方議会意見書採択、国会の紹介議員の数に示される圧倒的な世論の結集が不可欠です。
わが同盟は一九七四年以来、三六回におよぶ国会請願を行い、今年までに累計八〇〇万を超す署名を集め奮闘しています。この署名運動は、同盟の活動の質的強化にも大きな役割を果たしています。
また、戦後補償問題でたたかっている団体との連帯、憲法九条を守る運動で国民の過半数を獲得するための国民的世論づくりの推進力にもなっています。これは全会員の誇るべき歴史的成果です。
全都道府県本部が積極的な自主目標を掲げ、署名目標達成をめざして奮闘します。
①地方議会での意見書採択や国会での紹介議員を増やし、国賠署名を推進しましょう。
②同盟員の学習活動を重視し、「署名推進リーフ」を積極的に活用し、犠牲者顕彰活動とも結合して署名活動の自覚的な取り組みをつよめましょう。
③労働組合、民主団体、寺院、キリスト教会、町会・自治会、サークルなど、より幅広い団体に、繰り返し協力を訴えていきましょう。
④県本部・支部は、毎月署名活動を点検し、先進的経験を普及するなど、目標達成に向けて計画的、組織的な取り組みを強めましょう。
(2)国会請願の活動
今年、国会請願行動には全国から昨年を上回る一五五人が参加し、四三七(五八・〇%)人の衆参両院議員を訪問し、一二八名が紹介議員を受けてくれました。また、法務委員会での審議促進を衆参法
務委員会委員長と理事への要請を行い、後日、三役・治安維持法犠牲者が森英介法務大臣、江田五月参議院議長と面会しました。しかし新しい国会情勢のもとで要求実現にふさわしい紹介議員を獲得するためには、全議員の訪問、事前の準備や働きかけ、訪問後の対策などについて、今後の改善がいっそう必要となります。
(3)地方議会への陳情・請願活動
「治安維持法犠牲者への謝罪と賠償」を求める意見書は、今日までに四一都道府県の三五四市区町村議会で採択または趣旨採択をかちとっています。しかし、栃木、群馬、岩手、静岡、広島、愛媛の
六県で未採択、一六府県では一、二の議会での採択にとどまっています。
「治安維持法犠牲者への謝罪と賠償」を求める意見書を政府に提出することは、地元住民と地方議会の意思表明であり、国政にも重要な影響を与え、要求実現に結びつくものです。
この間、あらたに採択をした市町村議会は、川西町(山形)、釧路市(北海道)、尼崎市(兵庫)、みやこ町(福岡)です。これらの教訓に学び、未採択議会の議長、担当委員会責任者との話し合い、委員会での意見陳述などあらゆる可能性を追求しつつ、ねばり強く、計画的に陳情・請願活動にとりくみます。
(4)国際活動
①二〇〇八年十月、ジュネーブの国連自由権規約委員会で「日本政府報告」が審査された際、国際人権活動日本委員会、国民救援会、自由法曹団、治安維持法国賠同盟の四団体で共同のカウンター・レポートを提出しました。「日本政府への厳しい総括所見」という成果を広げる集会や学習会で他団体と交流し同盟活動を広めます。新政権が速やかに「自由権個人通報制度」を批准するよう「団体署名」に取り組みます。
②二〇〇七年一〇十月、「中国平和・連帯の旅」では「中国国際交流協会」と第一回の交流をしました。二〇〇九年一月に「ベトナム平和・連帯の旅」でベトナム戦争旧兵士と交流しました。一〇月の「中国平和・連帯の旅」では、「中国国際交流協会」と第二回の交流を行い、アジア諸国との平和市民外交を進めます。
③二〇〇八年五月、幕張メッセでの「九条世界会議」では分科会「戦争と弾圧は手をつないでやってくる」を自主企画しました。多喜二、鶴彬はじめ、犠牲者や国賠運動の紹介を国際的に広めます。
(5)「戦争犯罪及び人道に反する罪に対する時効不適用に関する条約」の承認と批准を求める運動
「戦争犯罪」と「人道に反する罪」は第二次世界大戦においてナチやファシズム、そしてわが国の天皇制軍国主義とたたかった人々が、生命をかけて築き上げた平和秩序のための国際法です。治安維持法は、この国際法にも違反した法律であり、同盟の犠牲者に対する謝罪と賠償要求と「再び戦争と暗黒政治を許さない」という基本要求の国際法的根拠となるものです。同盟は戦後補償要求でたたかっている諸団体と連帯し、批准運動を推進します。
2 、治安維持法犠牲者を顕彰する活動
(1)犠牲者の顕彰・記念集会の成功を
昨年、同盟四〇周年事業として行った治安維持法犠牲者と語る集いの成功、大阪城の鶴彬の句碑建立、「聳ゆるマスト」記念碑建立への取り組みなど、新たな取り組みが各地で進んでいます。毎年、全国で行われている3・15、4・16大弾圧記念集会、多喜二祭、山宣祭など多くの所で成功しています。同盟は、県本部や支部で有名無名の郷土出身の犠牲者の顕彰活動を大いに進め、記念集会、支部主催の墓参会や偲ぶつどいなどを成功させ、若い世代に語りつぎます。また、全国各地の歴史探訪、碑めぐりツアーなどをすすめます。
(2)すぐれた映画の上映、普及活動
昨年一月、ロードショウ公開された映画「母べえ」は全国一九〇万人が鑑賞しました。今年は「鶴彬こころの軌跡」(神山征二郎監督)が作成され、全国上映も始っています。また「時代を撃て・多喜二」、「日本国憲法」、「日本の青空」などの映画を見て同盟への入会や署名活動への参加が全国各地で生まれています。「DVD﹈「ビデオ」もそれぞれ作成、販売されています。今後とも積極的に取り組みましょう。
(3)治安維持法犠牲者名簿の作成、伝記、書籍などの普及
同盟は国に対し、治安維持法犠牲者の実態を調査し、その内容を公開することを求めるとともに、今日まで調査・発掘されてきた治安維持法の犠牲者名簿を一層充実させ、昨年より始めている全国的名簿の作成に取り組んでいます。治安維持法犠牲者の名簿作成を整備し、書籍・パンフレットなどをつくり普及します。
(4)同盟内外での学習会の強化
同盟の要求は国の政策を転換させる政治的要求であり、県本部、支部で開催されている学習会を成功させ、治安維持法問題シンポジウム、憲法学習会などを開催します。
(5)同盟の機関紙「不屈」や『治安維持法と現代』
同盟の機関紙「不屈」や『治安維持法と現代』両紙誌の編集内容の充実にさらに努力し、普及します。とくに『治安維持法と現代』の発行はようやく二千部を超え、同盟運動の理論誌として定着しつつあり、既刊の『抵抗の群像』とともに普及に努力します。
3、会員拡大と都道府県本部・支部の確立
第33回大会は、一万六千人をめざす同盟会員拡大の早期達成を全国に呼びかけました。
①大会後一四〇〇人を超える新しい会員を迎えましたが、死亡、脱会者は差引き純増で九五人増(八月一日現在)となりました。
兵庫、京都が会員五〇〇名を突破するなど、会員拡大で増勢を勝ちとっているのは二二府県で、北海道(七八人)、兵庫(四七人)、神奈川(三〇人)、新潟・愛知・福岡(二三人)が二〇人以上を拡大しています。
これらの組織では、いずれも会議を定期に開催し、署名に協力してくれた人々、「母べえ」の上映運動、DVDやビデオの活用、顕彰活動、学習活動に参加した人々、同盟活動でつながりのあった人々に、大胆に訴えて新会員を増やしています。
②七月二七日の中央常任理事会では、一〇月二一日の全国大会まで、同盟にとって焦眉の急である「会員拡大」に総力をあげることを決定しました。とくに「会員拡大」にあたっては若ものの参加を重視してとりくみます。
③同盟活動を発展させるうえで、地域に密着して活動する支部の確立と活動強化は、決定的に重要です。市区町村ごとに支部を組織し、会議を定期的に開き、方針を具体化し、ニュースを発行するなど、地域で系統的に活動できる支部体制を確立しましょう。
④同盟は全国単一組織として、民主主義的組織運営を確立するために、「同盟規約」改定案を提案します。二年後の次期大会までに全国的に意見を集約し、採択する予定です。
4 、「平和のための戦争展」と8・15宣伝
全国各地で開催されている「平和のための戦争展」は、アメリカのイラク侵略反対、自衛隊のイラクからの撤兵、憲法九条守れ、基地反対などの要求を掲げて開催され、戦争を知らない若い世代に感銘をあたえています。同盟は、その参加団体の一翼をにない「戦争に反対した人々」のコーナーを設け、治安維持法に抗してたたかった先達を顕彰する展示などもすすめ「戦争展」を成功させましょう。
8・15「終戦記念日」のいっせい宣伝行動を成功させましょう。
5 、全国ブロック会議、全国女性交流集会の成功を
①全国九ブロックで成功を
昨年の全国ブロック会議では、東北ブロックでの七〇名参加など、地域に密着して活動をすすめてきた支部役員、活動家の参加が増え、情勢と同盟の現状をふまえた内容の濃い討議が交わされました。
同盟は、「九条の会」発足以後全国各地で〝憲法九条守れ〞の運動の先頭に立ってきました。この間の活動の教訓と運動の到達を踏まえ、今日の情勢にふさわしく、侵略戦争と治安維持法弾圧の歴史
を語りついでいく必要が強く強調され、郷土の犠牲者、先覚者の顕彰活動の重要性、五〇万署名達成の意義、焦眉の課題となっている同盟会員拡大の必要性などが討議されました。
これらの教訓の上に立ち、県本部の活動家とともに地域支部の役員、活動家の参加を増やし、成功させましょう。
②第20回全国女性交流集会の成功を
昨年は、二九都道府県から七五名が参加し、吉川春子さんの記念講演「翔びたて女性たちー慰安婦と女性の人権」が参加者に感銘をあたえました。
治安維持法犠牲者の水谷安子さん、市吉澄枝さん、犠牲者の遺族の村井てる子さんが戦前の体験や思いを語り感動をよびました。集会では、憲法を守り、女性の人権を守るたたかいの先頭に立ってい
る姿も交流され、若い親子の参加もあり、女性会員を拡大しているところの教訓や、母親運動をはじめ女性団体との共闘の経験なども多く発言され、女性部活動に対する確信が表明されました。
今年は女性部未組織の県本部からの参加にも努力し、全都道府県からの参加をめざします。また、今年は、記念すべき二〇周年を迎えます。大いに展望と学習・交流を深め、二〇周年にふさわしい運
動を発展させるため奮闘しましょう。
6 、旺盛な同盟活動を支える財政活動の強化を
前大会で雑誌や広告代などの還元を増やすなど都道府県財政の強化を進めてきましたが、中央本部、支部財政を含め、なお一層の努力が必要です。そのために、①会員一万六〇〇〇人の拡大目標をや
りとげ、財政力の強化。②会費一〇〇%納入をめざします。③賛助会員を増やします。④年末カンパと「不屈」名刺広告を増やします。⑤『治安維持法と現代』、各種報告集、単行本、その他出版物、ビデオ(DVD)などの普及と代金一〇〇%納入をめざします。⑥県本部は支部の活動を支える支部財政への指導、援助を強めます。
むすび
同盟は結成以来、ふたたび戦争と暗黒政治を許さないために、治安維持法犠牲者に対して、国家が謝罪し、賠償を行うことを求め、たたかい続けてきました。
歴史を逆流させようとするものたちを許すことはできません。
治安維持法下の国民弾圧を権力犯罪として認めさせ、侵略戦争であったことを認めさせることは、今日国民的課題の一つです。同盟の真価を発揮し、力を合わせて奮闘しましょう。
2009年9月15日不屈(毎月15日発行)№423