次は下車駅、戦争批判の書を閉じると待っていたように隣席の見知らぬ人が話しかけてきた。「これ、どう思いますか」▼終戦直後の世相写真集の一頁。進駐軍にチョコやガムをねだる子どもたち。「父親はね、幼児の私に『こんな情けないことは絶対に許せん』ときつく教えたものですよ」▼とっさに「お父様の気骨は立派です」とほめてから「でもね、あの時代は、食べる物も住居もなく、特に戦災で孤児になった人の悲惨さは……。すべては戦争の犠牲です。絶対に戦争はいけません」と言ってホームにおりた▼まさに〝三分間対話〞。あとあと気になって仕方がない。あの戦争がどんなに人の命、くらし、心をこわしてしまったか、その反省の上に確立した日本国憲法を改悪しようと企む勢力と「九条守れ」とたたかう人々。戦争体験をもつ者がいまこそ大いに語るべきだが▼私ももっと大勢の人に語るべき義務と責任がある。と痛感させられている。(T)
2009年12月15日 不屈 №426 (毎月15日発行)