時の焦点 大連立
参議院選挙。民主党が独り勝ちし日本共産党や社民党が議席を減らす一方、自公政権与党の大敗という複雑な結果。それは自公政治を変えてほしいとの民意の現れで、国民主権の発動、戦後民主主義のよみがえりと映りました。
そこへ降って湧いたのが「大連立」。「連立」とは複数政党による政権担当。とかく「合同」など
と混同されがちですが、「合同」の方はそれぞれ旧政党が解体して、新政党に一体化することを意味します。
いまでも自公政権は連立政権ですが、いわば「小連立」、「大」がつくのは議会第一党と第二党との連立の場合で、与党が巨大化し独裁政権が可能となります。
ひとまず破局しましたが、福田・小沢の両者は密談で、大連立の条件として、国連決定に限っての海外派兵、その恒久法づくりに合意しています。テロ特措法の期限切れを前に、ほかに消費税大幅引上げを加えた当面の政治的打開策でしたが、警戒すべきは、大連立の最大目標が憲法改悪に照準を合わせていることです。
今回の密室会談の仕掛け人は、読売の渡辺恒雄と元首相の森喜朗の二人。その二人と親しい間柄の中曽根康弘元首相が、すでに参議院選挙直後に、自公大敗の結果、改憲が遠のくの
を恐れて、「大連立も選択肢の一つ」と明言していました。
今日、大連立の実例をドイツに見ることができます。ドイツでは二年前に、第一党のキリスト教民主社会同盟と第二党の社会民主党の大連立が生まれています。保革二大政党による大連立。連邦議会の七〇%を占めて、アフガンへの国際支援部隊参加一年延期や、日本の消費税に当たる付加価値税を一六%から一九%への引上げを強行しています。連立政権による行政の中道化に反発して、社民党員十五万人が旧東独時代の共産党の流れの「左派党」に合流する事態も生まれていて、二〇〇九年予定の総選挙とその前哨戦の来年一月の主な州議会選挙の動向が注目されています。(元)
不屈中央版№402 2007年12月16日