書棚
『憲法対決の全体像』 不破哲三
憲法「9条の会」が全国七千に迫る勢いで来年を迎えます。治安維持法犠牲者をはじめ戦前からの国際的な平和・民主主義の流れの中でつくられた日本国憲法が、今や世界の名誉ある地位をしめつつあるなかで、日米同盟を軸とした「戦争する国づくり」に固執する勢力からの改憲策動も福田内閣のもと再び息を吹き返そうとしています。
本書は第一部「憲法対決の全体像をつかもう」(二〇〇七年)、第二部「「世界の流れのなかで憲法問題を考える」(二〇〇四年)、第三部「日本国憲法と社会進歩の立場」(一九九一年)と、歴史をさかのぼりながら現時点での憲法問題の到達点をとらえるという、読者にとって大変わかりやすい啓蒙書。そして憲法を活かすも殺すも憲法の主権者、歴史の主役としての読者自身の自覚をつくる。まさに憲法学習最適のテキストといえましょう。
第一部では、現在の改憲派はどんな日本をつくろうとしているか、これと対決する「憲法9条を守れ」の声を国民多数派にしていく展望を語っています。
第二部では、日本の憲法問題を世界の流れのなかでとらえ、改憲派の考える日本の国際的孤立へ、そして9条、人権諸条項のもつ国際的先駆性を明らかにしています。
第三部では、これらを社会進歩の立場からとらえ、憲法がうたう主権在民、平和と民族自決、国民の生存権などの諸原則が、いかに世界の大勢となりつつあるかをリアルに展開。
同盟の運動にとっても必読の文献としておすすめしたいものです。(信)
不屈中央版 403号 2008年1月15日