書棚『瀬長フミと亀次郎
―届かなかった獄中への手紙』
内村千尋編・著 あけぼの出版刊 一、八九〇円
本書は、沖縄県民の宝と言われた瀬長亀次郎さん(元沖縄人民党委員長・元那覇市長・元衆議院議員・元日本共産党副委員長)とフミさん(那覇市議会議員四期)夫妻のあゆみを、二女の内村千尋さんを中心に編集委員の協力で発刊したものです。
第一章「しなやかにしたたかに
大衆と生きて」は、フミさんの自伝「熱い太陽のもと激動の島に生きて―亀次郎との二人三脚」
を軸に、亀次郎の著書と日記をひろって編集したもの。米軍占領下の沖縄で、人民党を結成。七十万同胞と団結して祖国復帰、平和のためにたたかい、人民党弾圧事件で逮捕・投獄。しかし、那覇市民は出獄した亀次郎を市長に選出した。どんな卑劣な弾圧にも屈せずたたかい続けた瀬長夫妻。
第二章「届かなかった獄中への手紙」は一九五四年十月「人民党事件」で、亀次郎が逮捕され、沖縄刑務所・宮古刑務所に投獄。最近、アメリカ国立公文書館に当時の手紙のコピーが収蔵され、そこには宮古地区警察署長が長女の手紙を「瀬長には渡しておりません」という報告書が添付されていたのである。驚きである。
このほか、二人のエッセイ・詩・短歌など多彩。歩んだ道は敬服の一言につきる。
小生は、六〇年代に祖国復帰運動を支援するため、数度にわたって渡航申請をしたがビザがおりず、以来、その後遺症か、いまだに未渡航だ。(幹)
「不屈」 中央版 391号(2007年1月15日号)