「建国記念の日」不承認 各地で集会
改憲の動き止めよう
大阪 奈良 和歌山 京都 兵庫 滋賀
安倍政権による戦争法強行、改憲策動のなかで迎えた「建国記念の日」の11日、憲法・平和・民主主義を守ろうと、近畿各府県で集会が開かれました。
戦争法反対さらに 大阪
大阪では、労働組合や歴史学研究者らでつくる「建国記念の日」反対大阪連絡協議会が50回目の「『建国記念の日』不承認 大阪府民のつどい」を大阪市内で開き、220人が参加しました。
大阪歴史科学協議会の林正敏副委員長が開会あいさつし、自由法曹団の山口真美弁護士が「『戦争する国』づくりに、どう立ち向かうか」と題して講演しました。
山口氏は、平和と民主主義を守りたいという国民の思い、それを踏みにじる安倍内閣への怒りで共同が広がった戦争法反対の運動をさらに広げ、明文改憲阻止のたたかいに発展させようと強調。「7月の参院選では改憲勢力3分の2の阻止のため行動で示していこう」と呼びかけました。
2人が意見発表。SADL(サドル)のメンバーが、民意や世論を動かすために、街に出て対話をしていると話し、大阪歴史科学協議会の西尾泰広氏が、侵略戦争を美化し、日本の加害責任をあいまいにする歴史・公民教科書の採択問題について報告しました。
シールズを招いて 奈良
奈良では10日、「建国記念の日」に反対する奈良県民集会実行委員会が、SEALDs KANSAI(シールズ関西)の寺田ともかさん(22)と齋藤凛さん(20)を招き、「現在の日本と私たちの運動」と題して、50回目の集会を奈良市内で開催し、73人が参加しました。
寺田さんと齋藤さんは、シールズ関西について2人がスピーチしたデモの映像などをまじえて紹介しました。映像を見た参加者のなかには目をうるませる人もいました。
齋藤さんは「私が、路上で得た日常のなかにある政治や政治参加の方法を次の世代に伝えていきたい」と話しました。
寺田さんは「自分たちの行動があるのは、戦後70年間、平和の行動を続けてきた皆さんのおかげです」と話すと会場から大きな拍手がおくられました。
会場から「メンバーより若い子に、どう訴えかけるのか」など質問が相次ぎ、寺田さんと齋藤さんが答えました。
最後に、集会決議が採択されました。
2000万署名成功必ず 和歌山
和歌山では、平和・人権・民主主義2・11和歌山市集会が開かれ、90人が参加しました。
講演した元和歌山大学副学長の堀内秀雄名誉教授は、戦争法反対の運動について「和歌山でも大きな草の根の運動になりつつある。運動の広がりはある。でも足りない。権力、地方自治体、メディアなど締め付けは強くなっている」と指摘。現状を戦前の日本やヒトラーが台頭したナチスドイツと比較するとともに、シールズやママの会の運動を紹介し「日本の戦後民主主義の最大の危機だ。しかし戦前と決定的に違う。現状を客観的に見て改憲阻止のためにどうしたらいいのか議論しよう」とよびかけました。
堀内氏はますます独裁化を強める安倍政権を糾弾するとともに、権力の暴走が平和主義・立憲主義・民主主義を守る新しい運動の「寝た子を起こした」と指摘。2000万署名を成功させ、野党統一候補を擁立し、安倍政権を倒そうと訴えました。
13条の精神生かす 京都
京都では、安倍政権の歴史認識を問う「『建国記念の日』不承認 府民のつどい」(同実行委員会主催)が京都市下京区で行われ、170人が参加しました。
主催者あいさつした京都教育センターの高垣忠一郎代表は「すべての国民は、個人として尊重される」とする日本国憲法第13条を引用し、「この精神が社会でどれだけ生かされているか」と述べました。
「子どもと教科書京都ネット21」の大八木賢治事務局長が基調報告を行い、日本の侵略戦争を美化する教科書の採択を狙う動きのなか、子どもの歴史認識の状況と問題点をつかむ必要性があると訴えました。
恵泉女学園大学名誉教授の内海愛子さんが講演。日本はサンフランシスコ条約で西側諸国との和解は成立したが、これは日米安保条約と一体化した米国の世界戦略の一環であり、韓国、朝鮮、中国との清算と和解は排除されたと述べ「戦後処理の二重構造が東アジアに緊張状態を生み出し、今日まで残っている」と話しました。
シリア内戦現状は 兵庫
兵庫では、2・11「建国記念の日」不承認県民集会が神戸市で開かれ、会場いっぱいの120人が参加しました。
フリージャーナリストの西谷文和氏が「戦争のリアルと安保法制のウソ」と題し、傷ついた子どもたちと市民、破壊された街や戦闘の映像を交えシリア内戦の現状を報告しました。湾岸戦争やイラク戦争開始前のうその証言映像を紹介し、戦争がうそから始まることや新聞・テレビが報道しない事件・事実を示し、災害や戦争など大事件のときに市民の冷静な判断が求められることを強調。福島原発事故や沖縄米軍新基地建設など政府が国民に忘れさせ、あきらめさせようとしていることを指摘し、「忘れない、あきらめない、だまされないことが必要」と述べました。
実践報告として、戦争法反対のデモに取り組むティーンズソウル・ウエストの男子高校生(17)と、安保法案をめぐる高校での授業と生徒の感想が報告されました。
正しい歴史認識を 滋賀
滋賀では、「建国記念の日」を考え、戦争法廃止をめざす滋賀のつどいが大津市内で開かれました。「革新の会しが」や県平和委員会、治安維持法犠牲者国家賠償要求同盟県本部、自由法曹団滋賀支部が主催し、80人が参加しました。
治維法国賠同盟県本部の川端俊英会長は「正しい歴史認識に立って今を考える貴重な機会になれば」とあいさつ。帝塚山学院大学教授の川本治雄氏が「侵略戦争の歴史から学び、安倍政治を考える」と題して講演しました。
川本氏は「戦前の遺物、残りかすみたいなものをよみがえらせないような未来志向を考える日だ」と述べ、安倍首相が改憲を堂々と言いだす状況の中で「いま黙っていてはいけない」と話しました。
参加者からは「子どものころの戦争中のことを語りながら、今の言論の自由や基本的人権をどう守っていくのかを考えたい」などの意見が出されました。
(2016年02月12日,「赤旗」)