同盟歌壇 碓田のぼる選
岐駄県 和田 昌三.
彼岸花あかあかと咲く道の辺に一揆の義民碑ひっそりと建つ
大分県 渡辺 幹生
あと何年乗れるかわからぬポンコツ車貼りかえし「9」の文字のみ新し
新潟県 加茂川ハル子
読む度に偏見差別胸を刺す明石海人のハンセン病の歌
静岡県 江川 佐一
同盟の宴たけなわの終り頃郡上踊りの手さばきを見る
新潟県 柳川 月
レッドパージより六〇年なり貧病苦に耐え生き来しをふり返り思う
神奈川県 若林 義文
治維法に弾圧されし先駆者も少なくなりて淋しかりけり
北海道 棟 徹火
パチンコ店ハローワークに集う顔「どうかね今日は」と目をやや伏せて
福井県 元山 章一郎
転作で植えたるソバの白い花一面波うつ山里の秋
和歌山県 中平喜祥
西大寺の土塀崩れしさまを見てわれの戦後は定まりにけり
兵庫県 岸本 守
雨合羽しみる雨水耐えしのび平和行進ヒロシマに向く
《選のあとに》
短歌の基本は、心の感動をリアルに表現することです。そしてその作品が読む人の心にしっかり届くことが大事です。短い詩の形の中で、心に感じたことを表現するわけですから、たくさんの事を言えないことは当然です。歌いたいことの中心をよくしぼり込んで焦点化することが大切です。
不屈中央版 437 (7) 2010年11月15日(毎月15日発行)