治安維持法犠牲者の名誉を守り、顕彰するために
『和歌山県の治安維持法犠牲者』の改訂めざして
…その6
調査・顕彰部 M ・I
ひょんなところから新たな犠牲者が
私は「九条の会・わかやま」の事務局員も勤めています。会の呼びかけ人である弁護士・月山桂さんが2009年5月、『法曹界に生きて平和をおもう』という書籍を出版され、私も1冊いただきました。その中の「第3章 戦争と3法(戦争へ導いた法体制について)」に、3悪■法の一つ「治安維持法」について26ページにわたり記述されていました。
政治活動への弾圧として3・15事件、4・16事件、横浜事件が、学問の自由への弾圧として滝川事件、天皇機関説、人民戦線事件が、信教の自由への弾圧としてキリスト教ホーリネス教会弾圧事件が記述されていました。
ホーリネス教会弾圧事件の中に「函館本町教会の伝道者・小山宗祐が函館憲兵隊に拘.引された。その端緒は戦勝祈願のため護国神社に参拝するのを拒否した。・・,・・函館拘置所の未決監で自殺した。牧師・伝道者が自殺するはずがない。…本籍は和歌山県田辺市だそうである」とありました。
これが事実なら明らかに犠牲者定義分②に該当します。それで、国賠同盟北海道本部に問い合わせました。
北海道本部・宮田汎さんから、本籍は和歌山県西牟婁郡田辺町江川本町、1942年公判の翌日、「3月26日午前5時40分函館市新川町器番地二於テ死亡」(新川町とは新川拘置所のこと)、五稜郭病院で遺体をあらためると、首に紐のあとがあり、身体には拷問されたあとの癒(あざ)がついていた、などを始めとする詳しい情報が寄せられ、新しい犠牲者であることが判明しました。また、,宮田さんからは坂本信一(『犠牲者名簿』P40)に関する情報もお知らせいただきました。
お知らせいただいた小山宗祐に関する情報を弁護士月山桂さんに郵送しましたところ、月山さんからは、「それにしても貴兄が治安維持法の犠牲者の発掘のため御努力なされていることに対し、心からなる畏敬の念を覚える次第です。一層の御成果を御期待申し上げます」という、心温まるお返事をいただきました。
(つづく)
不屈和歌山県版 No.234 2011.2.15 5面