北から南から
各地で「多喜二祭」をひらく
多喜二の墓前に献花 北海道
北海道の多喜二祭は二十日小樽市、二十一日江別市で行われました。小樽の墓前祭は猛吹雪となる中、九州大村からの参加者など一二〇人が集まり、小林家の墓に赤いカーネーションを献花し、道本部の伊藤俊事務局長が横浜事件判決に触れてあいさつ。
市内の「夕べ」では、三〇〇人が荻野富士夫小樽商大教授の講演「世界を思う心と女をおもう心」に耳を傾けました。
江別の多喜二祭は宮田汎中央本部副会長が「東京の多喜二」と題してスライドを使って講演、多喜二の葬儀を弾圧するさまを見ていた北海道出の人の話しなど新しい発見を語りました。
失職中の青年が多喜二の手紙を朗読するなど七〇人の参加者は多喜二の好きだったぼた餅を食べて多喜二を偲びました。
県多喜二祭賞発表など 秋田県
第四五回秋田県多喜二祭(実行委員会主催)が二月二十日、秋田市の県生涯センターを会場に二〇一人が参加して開かれ、シカゴ大学のノーマ・フィールド教授(日本文学)が「小林多喜二を
21世紀にどう読むか」と題して講演しました。講演に先立ち、秋田合唱団による合唱、朗読「多喜二の手紙」、県多喜二祭賞が発表され、県の近代史研究の田口勝一郎さん、多喜二研究の日景健さんの二人に送られました。フィールド教授は、二十一日、大館市中央公民館で一〇〇人参加して開かれた「第31回大館市・小林多喜二記念の集い」でも講演されました。(近江谷昭二郎)詩の朗読で多喜二を偲ぶ茨城県新日本歌人古河支部主催の「二〇一〇年古河多喜二祭」は、多喜二忌の二月二十日午後一時半から古河文学館講座室で開催され、埼玉、群馬からの参加も含め定員一杯の三〇名が出席しました。多喜二を偲び全員で黙とう、各地からのメッセージ披露に続いて、朗読ボランティアの北田政子さんが、土井大助作の詩「麻布の坂道」を朗読しました。最後に新日本歌人前代表幹事の奈良達雄氏が、「多喜二の戦友たちの詩」と題して、上野壮夫、今村恒夫、田木繁、宮本百合子らの詩を朗読しながら講演、参加者に深い感銘を与えました。(針谷喜八郎)
多喜二虐殺の地で初のつどい 東京都
多喜二虐殺の地・築地で二月十四日、戦後初の「よみがえれ!多喜二―築地のつどい」が開催され、午前は築地署、前田病院、築地小劇場跡のツアー、午後からは小樽文学館提供の多喜二デスマスクを囲んで愛唱歌「折ればよかった」のバイオリン演奏、「よみがえれ多喜二」の朗読、地元男性女性コーラスの友情出演のあと藤田廣登氏による「築地と多喜二」と題する記念講演が写真映像を使って行われ約一〇〇人が参加、多喜二らの掲げた灯を今日に受け継ぐ決意を固め合いました。(藤田広登)
石川啄木と小林多喜二 兵庫県
二月二十日、県同盟も参加した実行委員会主催の兵庫小林多喜二記念集会が神戸・生田文化会館で行われました。集会は西村恵一さんの心にひびくヴァイオリン演奏に続き、碓田のぼるさんの「石川啄木と小林多喜二」と題する講演が行われ、多喜二の命日にふさわしく、静かななかにも参加者に感動をよぶ集会として成功しました。(築谷時雄)
「二〇一〇年多喜二の火を継ぐ―大阪多喜二祭」 大阪府「二〇一〇年多喜二の火を継ぐ―大阪多喜二祭」は、二月二十日、クレオ大阪東ホールで開催し、会場満席の約四〇〇人が参加。第一部は、多喜二が愛した歌をソプラノ歌手・徳畑作子さんが熱唱。続いて、漫才「現代蟹工船」を清水ただしさん、奥田憲二さんが演じ、会場を笑いの渦に巻き込みました。
第二部は、「新しい政治への探求と小林多喜二」と題して、浜林正夫・一橋大学名誉教授が記念講演。浜林さんは、多喜二の作品が描き出した日本社会を詳しく解説。現代の情勢のもとで「新しい政治の探求」のために、多喜二の灯を継ぐことの意味合いと重要性で話を結びました。
同時に行われた「多喜二資料展」では「多喜二」と「山宣」のデスマスクが並べて展示され、視覚障害者の方が手に触れて感動する場面がありました。(室谷雄二・実行委員会事務局長)
映画「鶴彬」と多喜二 熊本県
第22回人吉早春文化を語るつどいは二月二十日、東西コミセンで開かれ、二十代から八十代までの一三〇名が参加。多喜二と同世代に生き、反戦を貫き獄死したプロレタリア川柳人を描いた映画「鶴彬こころの軌跡」(監督神山征二郎)上映し、参加者のフリートーク。会場からは次々に手が挙がり、司会者(二児の母親33歳)は〝みなさんの反戦平和への熱い思いが伝わってきました〟と笑顔で語っていました。(上田精一・「つどい」事務局長)