同盟歌壇 碓田のぼる選和歌山県中平喜祥
髪を刈るハサミの音を聞きながらひととき遠き日を思いおり
〈評〉忙中閑ありの風情。自然に言葉が流れる。
岐阜県和田昌三
一揆踊る仲間は更に五人増え稽古は一気に盛り上がりゆく
〈評〉遠い宝暦の郡上一揆への思いがこめられる。
静岡県江川佐一
スペインは男性がバラの花を贈るらしわれも贈りたし糟糠の妻
そうこう
〈評〉苦労を共にしてきた妻へのいたわりのうた。
大分県渡辺幹生
はめられし冷たき手錠の感触が今も手首にと荒川氏言う
〈評〉ビラ配布への弾圧事件に、皮膚感にて抗議。
福井県元山章一郎
童らが声ひびかせて雪合戦赤青黄のヤッケ輝きて
〈評〉子どもらの明るい声が作品の中からひびく。
新潟県柳川月
故国コリアへ帰る夢果たせず逝きし友日本名丸山末子のままに
〈評〉日本びいきの韓国生まれの友への追悼深く。
東京都鈴木すみ江
わたつみははるけき地震(ない)を伝播(つたえ)きて警報ひしめく2・
28列島
〈評〉地震もまさにグローバル化そのものの姿で。
兵庫県岸本守
「山宣」の石碑を守りぬ旅館主特高恐れぬ勇気賛える
〈評〉信州別所温泉にひそかに守られてきた山宣碑。
新潟県加茂川ハル子
三月前ひそかに喫煙したる友煙草を入れし柩に眠る
〈評〉煙草好きの友も遂に煙草と共に逝ったかと。
2010年4月15日不屈 №430