同盟歌壇
碓田のぼる選
東京都 若林義文
六十四年を党と生き来し反戦の炎の滾り消ゆることなく
〈評〉反戦平和いちずに↑戦後を生きて来て、今も消えない決意と感慨。
新潟県 柳川月
酔芙蓉庭に咲かせて揺り椅子に眺め給いしははそはの母
〈評〉朝夕の色が変わる酔芙蓉に見とれていた亡き母への強い回想である。
静岡県 江川佐一
小林多喜二「オルグ」を書きし宿の秋妻はじめてこの石段のぼる
〈評〉丹沢のふもと七沢温泉福元館に、妻をはじめて誘った時の一コマ。
岐阜県 和田昌三
艶やかに女舞いする太神楽のおかめの役は高校生か
〈評〉若い世代に受け継がれてゆく、民族的な遺産。その喜びがにじむ。
新潟県 加茂川ハル子
玉砕の島に生き残りし元将校晴れがましき席に生涯出でずと
〈評〉元将校のこれも一つの生き方。そこにも戦争の凄惨さがひそむ。
大分県 渡辺幹生
「自民・民主どっちも当てにならんな」とリハビリ中の友は嘆ける
〈評〉政治のギマンに長く苦しめられて来た者の、いつわらざる実感。
和歌山県 中平喜祥
党の名を投票用紙に書くことが「物忘れ」われの今日のたたかい
〈評〉老境の中で、ひたすら党を見つめ通している作者の姿である。
福井県 元山章一郎
赤い半パン高校生の夏休み五人仲間で憲法署名
〈評〉今時の若者は―などと言うなかれ。かく憲法は受け継がれると。
2009年10月15日不屈№424(毎月15日発行)